育児の悩み解決法|育児で失敗しないアドバイス





会社が育児休業を認めれてくれない時の対処法

 

育児休業の取得は育児・介護休業法で男女問わず労働者の権利として認められています。

 

【契約期間の定めがない労働者の場合】

 

1歳未満の子供を養育している男女の労働者は無条件に認められる。

 

【契約期間の定めがある労働者の場合】

 

1歳未満の子供を養育している男女の労働者で、次の@〜B全てに当てはまる場合は認められる。

 

※出産後8週間を超えない期間は無条件に認められる。

 

@雇用されてから1年以上経過していること。
A子供が1歳以降も引き続き雇用されることが決まっていること。
B子供が1歳になる日から1年が経過するまでに契約期間が満了し、かつ、契約が更新されないことが明らかでないこと。

 

※日雇い派遣や日雇いバイトなどは上記に該当しません。

 

会社が育児休業を認めない場合でも、労働者は自分から仕事を中断して育児休業することができます。

 

自分が上記の要件を満たしているにも関わらず、会社の上司が育児休業の取得を認めてくれない場合はどうすればいいのでしょうか。

 

この場合は、その会社は法律に違反しているということになりますので、いくつかの法的な対処を行う必要があります。

 

通知書を会社に郵送する

 

会社や上司に説明しても解決しない場合には、「育児休業の取得を請求する申入書(通知書)」を作成し、その書面を会社の社長宛で郵送しましょう。

 

<育児休業の取得を請求する申入書のひな型>

 

〇〇株式会社

 

代表取締役 〇〇〇〇 殿

 

育児休業の取得を求める申入書

 

私は、貴社に対し、再三にわたって、〇年〇月〇日から〇年〇月〇日まで育児休業の取得を申請しておりますが、未だその承認を頂くことができません。

 

この育児休業の承認がなされないことにつき直属の上司である〇〇に確認したところ、その理由は、「育児休業の前例がなく、それを認めてしまうと他の社員との公平性が損なわれる」というものでございました。

 

しかしながら、育児・介護休業法5条には、「労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。」と規定されておりますので、貴社の対応は法令に違反するものであると考えます。

 

よって、直ちに私の申請した育児休業を承認下さるよう申し入れます。

 

〇年〇月〇日

 

住所

 

所属部署

 

フルネーム 印

 

このように書面で通知しておけば、後日裁判などになった際に、その書面を証拠として裁判所に提出することができます。

 

将来的に裁判になる可能性がある場合は、証拠として残しておくためにコピーを取った上で普通郵便ではなく特定記録郵便もしくは内容証明郵便で送付しましょう。

 

裁判所では全ての書類をA4で統一していますので、A4用紙で作成するようにしましょう。

 

労働基準監督署に違法行為の是正申告を行う

 

労働基準監督署に対して違法行為の申告をしましょう。

 

労働者が育児休業を申し出たにも関わらず、会社が育児休業を与えない場合には労働基準法違反となります。

 

労働者から違法行為の申告があった場合には、労働基準監督署が会社に対して報告や出頭を求めて調査を行い、違反行為に対する是正勧告や検察への刑事告発を行う場合があります。

 

【労働基準法104条1項】

 

事業場に、この法律又はこの法律に基づいて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督署に申告することができる。

 

【労働基準法104条の2】

 

行政官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、または出頭を命ずることができる。

 

労働基準監督署に申告することによって労働基準監督署の調査や是正勧告が行われれば、ブラック企業などよほど悪質な会社でない限り労働基準監督署の指導に従うのが通常ですので、会社側が育児休業を認めることになるでしょう。

 

労働基準法違反を申告するための「申告書」に定められた書式はありません。

 

申告書はワードで作成し、A4用紙でプリントアウトして労働基準監督署に送付しましょう。

 

<育児・介護休業法違反申告書のひな型>

 

〇〇労働基準監督署長 殿

 

《申告日》

 

〇年〇月〇日

 

《申告者》

 

住所・氏名・電話番号

 

《違反者》

 

会社の住所・会社名・代表者名・電話番号

 

《申告者の職務内容および違反者との関係》

 

入社年月日・役職・職務内容

 

《育児・介護休業法違反の事実》

 

申告者は、違反者に〇年〇月〇日から〇年〇月〇日まで育児休業の取得を申請しておりますが、未だその承認を頂くことができません。

 

その理由は、「育児休業の前例がなく、それを認めてしまうと他の社員との公平性が損なわれる」というものでございました。

 

しかしながら、育児・介護休業法5条には、「労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。」と規定されておりますので、この対応は法令に違反するものであると考えます。

 

《違反する法律の条項》

 

育児・介護休業法5条

 

《申告の趣旨》

 

上記違反者における育児・介護休業法違反の事実調査およびその違反行為に対する速やかな是正措置を求める。

 

《添付書類》

 

育児休業の取得を請求する申入書のコピーなど。

 

添付書類がない場合は、「特になし」と記載。

 

《備考》

 

本件申告をしたことが違反者に知れると、勤務先で不当な扱いを受ける恐れがあるため、違反者に対しては申告者の氏名を公表しないよう求める。

 

労働局に紛争解決の援助を申し込む

 

育児休業に関する事項について労働者と事業主の間に紛争が生じた場合には、各都道府県に設置されている労働局に対して「紛争解決の援助の申し込み」をすることが可能です。

 

【育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第52条の4】

 

第1項 都道府県労働局長は、前条に規定する紛争に関し、当該紛争の双方又は一方からその解決につき援助を求められた場合には、当該紛争の当事者に対し、必要な助言、指導又は勧告をすることができる。

 

第2項 事業主は、労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取り扱いをしてはならない。

 

援助の申し込みを受けた労働局は、必要に応じ労働者や事業主に対して助言や指導を行います。

 

紛争解決の援助の申し込みをする場合は、労働局に書面を提出します。

 

書面に定型の書式はありません。

 

<紛争解決の援助申立書のひな型>

 

〇〇労働局長 殿

 

紛争解決の援助申立書

 

〇年〇月〇日

 

《申立人(労働者)》

 

住所・氏名・電話番号

 

《被申立人(事業主)》

 

会社の住所・会社名・代表者名・電話番号

 

《紛争解決の援助を求める事項》

 

育児休業を認めるよう事業主に対する助言・指導を求める。

 

《援助を求める理由》

 

被申立人に対し育児休業の取得を申請したが、「産前産後休暇を与えたのだから、これ以上の休暇は与えられない」として育児休業が承認されていない。

 

しかしながら、このような被申立人の対応は、1歳未満の子について育児休業をすることができると定めたいわゆる育児介護休業法第5条1項に違反する。

 

《紛争の経過》

 

申立人は〇年〇月〇日付けで被申立人に「育児休業の取得を請求する申入書」を送付し、その後も上司に育児休業を与えないのは育児・介護休業法に違反する旨を説明し理解を求めたが受け入れられなかった。

 

その後、現在に至るまで〇年〇月〇日から〇年〇月〇日までの育児休業は承認されていない。

 

《添付資料》

 

育児休業の取得を請求する申入書、育児・介護休業法違反申告書のコピーなど。

 

労働局に調停の申し立てを行う

 

育児休業に関する事項について労働者と事業主の間に紛争が生じた場合には、労働局に対して調停を申立をすることも可能です。

 

【育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第52条の4第1項】

 

都道府県労働局長は、第52条の3に規定する紛争について、当該紛争の当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合において当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第6条第1項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする。

 

「紛争解決の援助」を申立てても解決しない場合に改めて調停を申立てることも可能です。

 

労働局の行う調停は無料で行えますので、経済的に余裕がない人は裁判所ではなく労働局の行う調停を利用すると良いでしょう。

 

労働局に対して提出する調停申立書のひな型は厚生労働省のHPからダウンロードできます。

 

職場でのトラブル解決の援助を求める方へ(厚生労働省)

 

都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧

 

法律の専門家に相談する

 

上記の対処法を行っても問題が解決しない場合や会社や上司と交渉する勇気がない人は、なるべく早い段階で弁護士や司法書士、社会保険労務士などの法律の専門家に相談するようにしましょう。

 

労働基準監督署や労働局、労働相談情報センターでも相談を受け付けています。